自然の営みが作り出す輝きに魅せられて

冬の豊頃町、十勝川河口の大津海岸に打ち上げられた氷の宝石「ジュエリーアイス」。2016年の新聞で紹介されると、瞬く間に注目されるようになりました。透き通った氷塊は、光の映り込み具合・かたちや大きさによってさまざま輝きを見せ、たくさんの人を魅了し続けています。

写真家・岸本日出雄氏は、氷塊が「ジュエリーアイス」と名付けられるよりも前からその美しさに魅せられてきた一人。気象に翻弄されながらその都度表情を変える氷塊に惹かれ、ただただその輝きを飽きることなく追い求めています。

今回は、そんな岸本氏が10年以上もの歳月に渡り撮り続けてきたジュエリーアイスをご紹介。岸本氏が撮影した、ジュエリーアイスの豊かな表情をお楽しみください。

岸本 日出雄 氏

・APA日本広告写真家協会 正会員
・SSP日本自然科学写真協会 会員
・株式会社札幌コマーシャルフォト 代表取締役 フォトグラファー
北海道佐呂間町生まれ。大学在籍中に広告写真に興味を持ち始め、大手印刷会社、広告代理店を経て独立。現在は、広告、雑誌をメインにモデルから、自然風景、野生動物、航空撮影まで広く手がけています。

様々な表情を魅せてくれるジュエリーアイス

刻一刻と色合いを変える氷塊

夜明け前の神秘的な青。朝日が昇ってからの温かみのある赤や紫、黄のグラデーション。昼間の明るい青やくぐもった白…。時の流れと共に色合いを変えていく氷塊。

その輝きはひとつとして同じものはなく、その時、その瞬間だけのもの。自然現象によってもたらされる美しさなのです。

ジュエリーアイス 鑑賞注意事項

海岸周辺は住宅地があり、多くの住民が居住するエリアです。見学・鑑賞の際は以下のご配慮をお願いします。

・夜間や早朝に見学される方は、大声を出したり、騒がないでください。

・道路および私有地への駐車はお止めください。

・お車の駐車は指定駐車場へお願いします。

・駐車の際は、エンジンをお切りください。

・私有地への立ち入り、横断および撮影はお止めください。

・その他、迷惑行為は一切お止めください。

ジュエリーアイスはどうやってできるの?

年々注目度が高くなるとともに増えてきた、「ジュエリーアイスはどうやってできるのだろう?」という疑問の声。
その問いにこたえるべく、北見工業大学と福田水文センターの共同研究チームは過去のジュエリーアイスの発生時期と潮位(海面の高さ)との関係を調べ、現地観測を実施しました。
その結果、ジュエリーアイスが大津海岸に現れるまでのメカニズムを以下の4つの現象に区分することができました。

01. つくられる

潮位の変動が小さい時、気温の低下により十勝川の水が凍り、河氷(河川の氷)が形成される

02. こわされる

干潮から満潮にかけて、潮位の変動によって河氷が破壊される

03. はこばれる

破壊された河氷は満潮から干潮にかけて海へ。北からの風に吹かれて、次第に岸へと流れつく

04. あつまる

干潮から満潮にかけ、海にある河氷が潮位の影響で海岸に打ち上げられて堆積

ジュエリーアイスのできあがり!

  • 参考/岸本日出雄,「JEWELRY ICE MIRACLE BEACH 氷が創る奇跡の海岸 PHOTOGRAPHER 岸本日出雄写真集」(有限会社 ボドニ Scene北海道編集事業部,2018年)P.74「ジュエリーアイスはどのようにできるのか」(国立大学法人 北見工業大学 准教授 吉川 泰弘)

※写真提供:岸本 日出雄 氏
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